登山用ザックの選び方:サイズ、容量、快適性
登山初心者向けのザックの基本的な選び方
安全で快適な登山のために欠かせないのがザック 。
登山用ザックは、街で使うリュックとは機能や選び方が少し違っています。
登山用のザックは、重い荷物を背負って長時間歩き続けても、体にできるだけ負担がかからないような設計になっています。
また、荷物をすばやく取り出せるような工夫もされています。
この記事では、これから登山を始めたいという初心者の方へ向けて、正しい登山用ザックの選び方を紹介します。
参考にしてもらえると嬉しいです。
サイズと容量の適切な選択
登山用ザックを選ぶポイントは、「自分の体に合ったサイズを選ぶこと」「目的の山にふさわしい容量を選ぶこと」の2つです。
★サイズで選択
【背面長(トルソー)の長さが合うか確認する】
首の後ろの突起した骨~腰骨までの長さ「背面長(トルソー)」とザックの背面の長さを比較して選んでください。
背面長とザックの長さが合わないと、背中にうまくフィットしません。
そのため、背負った荷物の重さが分散せず、体に負担がかかってしまいます。
例えば、背面長が43cmの人なら、Sサイズ(41~46cm)のザックが適しているということです。
(例)
背面長 | 41cm以下 | 41~46cm | 46~51cm | 51cm以上 |
ザックサイズ | XS | S | M | L |
ただし、ザックのサイズ基準は、メーカーによって違うので注意してください。
また、ユニセックスタイプの登山用ザックは、ほとんど男性の体形に合わせて作られています。女性の方は、レディース向けから選びましょう。
特に小柄な女性におすすめです。
【ウエストベルトとショルダーハーネス(肩ベルト)が体に合うか確認する】
ウエストベルトとショルダーハーネス(肩ベルト)が、長過ぎても短過ぎても快適さが損なわれてしまいます。
これらのサイズが合っていないと、歩くたびに食い込んだり、擦れて痛くなる場合があります。
肩に当たる部分とザックの背面部分が、浮いたり隙間が空いたりしていないか、背負い心地を確認しておきましょう。
★容量で選択する
大きな登山用ザックに容量の小さな荷物を入れると、中の荷物が揺れて、歩きづらくなる場合があります。また、そのせいで疲労したり、転倒する可能性もあります。
歩行中の負担を減らし、危険を回避するためにも、ザックは登山シーンで分けて使ってください。
10~20L | 軽いハイキング用街用に兼用する人も多数存在する |
25~35L | 日帰り登山〜山小屋1泊用1番人気のある容量 |
35~50L | 秋・冬(防寒着が必要な季節)の山小屋泊~荷物が少なめのテント泊用 |
50~80L | テント泊用重い荷物に対応できるよう、機能面が充実している |
100L~ | 長期間の縦走、遠征に行く人に最適 |
効率的なザックのパッキング
登山に必要な基本アイテムとその整理方法
自然の中を長時間歩き続ける登山では、体力と安全面を考慮し、それに対応できるアイテムを揃えておくことが重要です。
ここでは、登山に必要な基本アイテム&その整理方法を紹介します。
参考にしてもらえると嬉しいです。
ザック内の重量分配のコツ
パッキング(荷造り)は、登山には欠かせない工程。
荷物を上手く収納できると、歩行中の肩や腰への負担が減り、疲労感も軽減できます。
★重いものは背中を中心に
★使用頻度と緊急度が高いものはザックの上に
雨蓋(リッド)に入れるもの |
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上に入れるもの |
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中間層に入れるもの |
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一番下に入れるもの |
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脇・隙間に入れるもの |
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背中側に入れるもの |
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ザックに詰めた荷物が片寄っていたり、すぐに出したいものが下にあると、緊急時にも困ります。
【地図・コンパス ・筆記用具・財布・携帯電話・飴】など頻繁に出し入れするものは、ウエストポーチやサコッシュに入れておきましょう。
実際の登山シーンを想定し、適材適所にパッキングするのがおすすめです。
ザックのアクセス性と整理整頓の重要性
ここでは、基本的なパッキングの仕方に加え、登山用ザックへの荷物のコンパクトな収納方法を紹介します。
是非、参考にしてください。
★シュラフ(寝袋)は畳まない
シュラフ(寝袋)を畳んで入れても、袋に詰めるのに手間取ったり、結局、崩れたりしてしまいます。そのまま一番下に思い切り押し込んでしまいましょう。
★ゴミは予め捨て、食料はまとめておく
ゴミは、自分で持ち帰らなければなりません。そのため、なるべく捨てられるものは捨てるようにしてください。
また、食料は日数ごとに分けておくと便利です。
面倒を避けたい方は、山に登るまでに、野菜や肉類を炒めてから持っていくというアイデアを試すのもいいでしょう。
★雨蓋(リッド)にはすぐ出せるものを入れる。
雨蓋(リッド)には、その日に食べる行動食やヘッドランプ、ケガをした時のためのファーストエイドキットなど、緊急時や頻繁に使う物をすぐ出せるように入れておいてください。
★密閉袋(ジップロックなど)を活用。
地図やスマートフォン、メモ帳、衛生セット、行動食など小物の収納には、密封袋(ジップロックなど)がおすすめ。
透明で見やすく、雨に濡れる心配もありません。
★重ねてコンパクトに
カップ&食器類は、取っ手を倒して重ねられるものがおすすめ。
予め食器類の中に小物を入れたり、袋の中にまとめて収納しておくのがポイントです。
★小分けにして隙間なく
パッキングの仕方がよく分からない方は、とりあえず、小分けにした荷物を空いている所に詰め込んでおけばOKです。
収納に便利なアイテムを活用するなど、なるべくザック内に隙間をつくらないようにしてみてください。
★大切な荷物を濡らさないよう、防水対策を万全に
山では、突然の雨に降られることがよくあります。
大切な荷物を濡らさないため、防水対策を心掛けましょう。
- 荷物を濡らさない防水パッキング法3選
- ザック内に同じサイズのドライパックを入れて防水する
- 荷物を個包装でスタッフバッグ入れて防水する
- 全体をザックカバーで覆って防水する
おすすめのザックメーカーBEST3
ここでは、おすすめのザックをメーカー別に紹介します。
おしゃれで機能的なデザインを備えた20L~40Lの一番人気のサイズをまとめています。
参考にしてください。
★Gregory(グレゴリー)
バックパックの専門メーカー。
人間工学に基づいたデザイン&最高品質へのこだわりを持った製品を製造しています。
おすすめザック
【メイブン35(容量:35L)】
一日分、もしくは簡単な一泊分の荷物を入れるのにちょうどいいサイズ。
通気性に優れたメッシュ状のバックパネルを使うことで、快適な背負心地を実現しています。
サスペンションは、調整可能。体の動きにもしなやかに追従してくれます。
★Deuter(ドイター)
ドイツを代表するザックブランド。
汗濡れを軽減するために、背面が密着しない構造のザックを世界で初めて開発しています。
おすすめザック
【フューチュラ 30(容量: 32L)】
軽量かつ機能的で、距離が長めのデイハイクやトレッキングにも最適です。
背面に使われているメッシュは通気性が高く、腰から背中へかけての快適な背負い心地を叶えてくれます。
二気室構造ですが、ジッパー式の仕切りなので、一気室でも使用可能。
- Osprey(オスプレー)
用途に合わせた高性能な登山用ザックを、小型から大型まで幅広く製造しています。
おすすめザック
【カイト38(XS/S=36,M/L=38)】
女性専用に設計されたショルダー/ヒップベルトが使われたモデル。小屋泊まりの登山やハイキング、旅行などにも最適です。
丈夫な生地&破損に強いシンプルな構造で収納面も充実。
ブルーサイン(Bluesign)認証のリサイクル素材が100%採用され、環境にも優しい製品です。
まとめ
選んだザックとパッキング術の要点の再確認
登山用のザックは、重い荷物を背負って長時間歩き続けても、体にできるだけ負担がかからないような設計になっています。
また、荷物をすばやく取り出せるような工夫もされています。
登山用ザックを選ぶポイントは、「自分の体に合ったサイズを選ぶこと」「目的の山にふさわしい容量を選ぶこと」の2つです。
また、パッキング(荷造り)は、登山には欠かせない工程。
荷物を上手く収納できると、歩行中の肩や腰への負担が減り、疲労感も軽減できます。
- 重いものは背中を中心に
- 使用頻度と緊急度が高いものはザックの上に
パッキングの仕方がよく分からない方は、とりあえず、小分けにした荷物を空いている所に詰め込んでおけばOKです。
収納に便利なアイテムを活用するなど、なるべくザック内に隙間をつくらないようにしてみてください。
皆さんが、安全で快適な登山を楽しめるよう、この記事が少しでも役に立てると嬉しいです。